天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

どうして、こんな優しい双子が見た目の問題で嫌悪されてきたんだ。


能力は、確かに人と違う。


でもそれで人を殺すわけじゃない。


むしろ人のために使ってる。


なんで…どこで、こんな風になってしまったのか。


俺たちは、理由を知ってる。


だけど、口止めされてるから言えない。


そうでなくとも、言えるわけがない。


「…翼鬼の斬り方、普通じゃないって思ったでしょ?」


あれは…確かに驚いた。


だって、返り血一つ浴びずに斬った。


「あれね…やっぱり翼鬼は知ってたんだよ。急所を一撃で仕留める殺し方を」


「!?どういう、こと…?」


「翼鬼は実験体にされてた。だから…殺すように、傷つけられてた。そのうちに、急所の狙い方も…覚えてしまったんだろうね」


「だから…初めてじゃないように感じたんだ…」


自然に、体で覚えてしまっていた動き、苦しみ。


そんなことをしていた相手でさえも、本気で殺そうとはしなかったんだね。


俺だったら、確実殺す。


「翼鬼のこと、怖がらないでね?僕はどうなってもいい。でも、翼鬼にだけは……もう、苦しんでほしくないんだ…」


「当たり前です。誰も怖がったりしない。もう二度と、苦しい思いはさせたくない」


「…ありがとう。……ねぇ、翼鬼。みんな待ってるよ。だから、早く目覚めてね」


それだけ言って、用があるからと天鬼君は去っていった。