天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

━━翼鬼が気を失ってから、7日間が過ぎた。


未だ、目覚める気配がない。


時々苦しそうに呻いて、ユラユラと腕を伸ばす。


その手を握ると、安心したように呼吸が落ち着く。


…こんな風にしか、甘えられないのかな…。


交代で、誰かが必ず翼鬼の側にいるようにしている。


いつ目覚めても、一人じゃないように。


「…沖田さん、入るよ?」


「どうぞ」


天鬼君が、入ってきた。


「翼鬼…。まだ、起きないの?僕を一人にする気…?早く、目覚めてよ…」


…天鬼君は、怖いんだ。


翼鬼が…二度と目を覚まさないような気がして。


「…早く、目覚めてね?」


見てるこっちが、切なくなってくる瞳で笑って。


必死で自分を保って。


…君たち姉弟は、我慢ばかり知ってる。


甘えるということを知らない。


知らなくていいことばかり知って。


知らなくてはならないことを、知らなくて。


辛い目にあってきたはずなのに。


人を恨んでもいいような過去を持っているのに。


…どうして、そんなにも…優しいの?