♢総司♢

「沖田さん…。俺も、やるよ」


いきなり翼鬼ちゃんが横にきて、そう言った。


なにを…言い出すんだ、この子は。


そう思って翼鬼ちゃんを見ると…全てを理解してしまった。


ああ、この子はやってしまったのだ。


知らなくていい苦しみを、知ってしまったのだ。


そんなことが分かるくらい…翼鬼ちゃんは、殺気立った目つきをしていた。


その奥に見せるものは…悲しみ。


「…ごめんね…」


そのごめんは殺した人に対してだったのか。


俺に対してだったのか。


分からなかった。


分かる前に、翼鬼ちゃんは敵を斬ってしまっていた。


全て…急所を一撃で。


せめてもの、優しさだろう。


苦しまずに逝けるように。


…ごめんね、翼鬼ちゃん。


愛…約束、守れなかったよ…。


「翼鬼!」


天鬼君が、駆け寄ってくる。


「バカ翼鬼!なんでっ…なんで…」


「……守り、たかった…。二人を…」


…愛の、言った通りだった。


翼鬼ちゃんの弱みは、仲間。


守るためなら自分を犠牲にする。


そのために…翼鬼ちゃんは、今…


闘っている。


自分自身と。