天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

翼鬼が………斬った…?


翼鬼は返り血一つ、浴びていない。


でも、翼鬼の持つ剣は…赤く染まっている。


「…つば…き…?」


恐る恐る、声をかけた。


だって翼鬼が…ピクリとも、動かなかったから…。


呼びかけると、翼鬼はビクッと肩を震わせ、ゆっくりと顔をあげた。


僕と、目があう。


「…天鬼…。お千代さん…守ってなよ」


そう言って、微笑んだ。


そして、沖田さんのほうへ向かおうと、顔を横に向ける。


その横顔は…見たことないくらい……


怖い表情だった…。


なにかに取り憑かれた。


そんな、感じの顔…。


睨むなんて表現は優しすぎるような、殺気立った顔。


…そんな顔を…翼鬼はしていた。