その時。


「誰だっ!」


土方さんが、いきなり廊下を見て叫んだ。


すると障子がすぅーっと開いて…


「ごめん。そろそろ羽の効果が切れると思って…」


天鬼が、顔を覗かせた。


ああ、そういえばそうだったわね。


もう、しゃべれないわ。


「まだ、何か話あった?」


『もうないわ』


「そっか」


そう言って微笑む、天鬼。


「…眠いよぉ…」


翼鬼は後ろで欠伸をしている。


…夜、弱かったかしら?


「ちょっと待って、翼鬼」


天鬼は翼鬼をなだめて、部屋に入ってくる。


何を言い出すのかと思えば…


「…生きてね」


と、たった一言。


なんでも分かってると言わんばかりに…真剣な表情で言った。


「当たり前だ。…お前らに辛い思いは、もう二度とさせねぇよ」


「…土方さんって…そんなこと言えたんだね」


翼鬼が本当に眠たそうに、呟いた。


「でも……ありがとう。あたしねぇ、みんなに逢えてほんとよかったよ」


そう言って、ふわりと微笑んだ。


翼鬼があたしと言い、しかも無垢な笑顔を浮かべた。


…これで、赤くならなかった者がいるのだろうか…否、いないわ。