天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

「で、翼鬼ちゃんの想い人って誰ですか?」


「…教えない」


だって、あなたです、なんて言えるか!?


「えー。俺の知ってる人?」


それくらいなら…


「そうだね。てか、俺こっちに壬生浪士組以外に知り合いいないし」


「あ、確かに…」


じゃあ範囲広くない?とか一人でブツブツ言ってる、沖田さん。


…知らないほうがいいんじゃ…?


「それよりも天鬼だよ!」


「なんで僕!?いいんだよ、僕は!一緒にいられれば…それで」


なんか天鬼が乙女に見えてきた。


「そんなこと言ってもさ、お千代さん嫁いじゃったら…終わっちゃうよ?」


この時代だし…いつ結婚するかなんて分からないでしょ。


親に決められるのがほとんどだろうし。


「…お千代ちゃんが幸せなら、それでもいいんじゃない?」


「そう。……あ」


そういえば、天鬼は言ったのだろうか。


お千代さんに、本当のことを。


「それに…嫌われちゃうでしょ。……こんな痣があったら」


悲しそうに笑う、天鬼。


…そっか、言ってないんだ、天鬼は。


「俺のために言ってないの?」


「…どうかな。ただ、僕が嫌われたくないだけかも」


そんなこと言ってるけど。


絶対に、あたしが苦しまないようにしてくれてる。


そういう子だ、天鬼は。