♪天鬼♪

「翼鬼!?」


いきなり、翼鬼が倒れた。


「どうしたんです?」


「分からない…。助けてあげてっ」


翼鬼は、失いたくない。


やっと…一緒にいれるようになったのに…。


「…総司、屯所に運べ」


「はーい。…えっと、名前…?」


そこで、名乗ってなかったことに気づく。


「僕は、天鬼。…この子の弟」


…翼鬼の名前は、言わない。


翼鬼本人が言ったほうがいいと思ったから。


「弟?こいつのほうがちっせぇのに、こいつが兄なのか?」


…いや、姉です。


と、思っても言わない。


バレると面倒。


「…そんなに変わらないでしょ。双子だし」


「双子か。なら…わかんねぇな」


土方さんは、そう言って何も疑わなかった。


「沖田さん、そのリュック貸して。僕が持ってく」


翼鬼のリュックを指差して言った。


「…りゅっく?」