♠翼鬼♠

あたしたちが幕末に来てから…約2ヶ月経った。


来たのが沖田さんの命日…5月30日だったから、今は夏。


「あっつ~」


「だからって、女の子がそんなに足出さないでください。はしたないですよ」


「…未来じゃこれくらい普通だよ。俺がこっち来たときも短いのはいてたでしょ」


「そうですけど…。ていうか、俺って言うの、やめません?」


「やめません!」


誰と話しているか、お分かりですよね?


そうです、沖田さんです。


「なんで俺って言うんですか」


「…じゃあ聞きますけど、なんで沖田さんは敬語なの」


「うっ…」


ほら、つまった。


あたしに対しては敬語のほうが少ない気がするけど。


…てか、敬語じゃないほうが嬉しい。


「……俺が俺って言うのは…男になりたかったから」


「へ?じゃあ、なんで髪長いんです?未来じゃ男は髪短いのが普通なんでしょう?」


「それはっ…」


憧れたからだよ…新撰組に。


そんなこと、恥ずかしくて言えないけど。


「別にいいじゃん」


「そっぽ向かないでくださいよぉ。あ、もう一ついいですか?なんで敬語じゃないのに、沖田さんなんです?」


また意味分からない質問を…。