天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

嬉しくて…それしか出てこなかった。


「…翼鬼。…どうして…死にたくても生きたの?」


え…天鬼?


「なんで…死のうとしなかったの…?聞いても、いい?」


「……死にたかった…ずっと…。でも…俺が死んだら、実験台にされるのは…天鬼だろ…?」


だから…死ねなかった…。


天鬼が、あんなことされるなんて…嫌だった。


「……天鬼も知らない、俺の過去…」


今なら、話せる気がする。


「俺……前…」


怖くて、怖くて。


心臓が有り得ないほどバクバクしている。


「……犯されかけた…」


「……え…つば、き…?」


「ずっと…前…誰か分からない…追っ手に……犯されかけた…。あの時は…ほんとうに死にたかった…。死に物狂いで…逃げて……それでも…穢れたみたいで…死んだほうが…ましだって…」


最後まで、言うつもりだったのに。


言えなかった。


だって、痛いほどの力で。


沖田さんに……抱きしめられたから…。