天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

びっくりしすぎて…何が起こっているのか、分からなかった。


ただ、女の子の叫び声だけが。


いつまでも、頭の中で響いてた。


“見なさい、あの子の額を。あなたと同じ、あの忌まわしい痣よ”


そして、僕は理解した。


この子が…僕の会いたかった姉なのだと。


“私たちは、あの子で実験してるわ。いくら傷つけても…あの子はすぐ治るの。鬼だからね”


あの子が治るのなら、僕も…


僕も……鬼なのか…。


“あの子の名前は翼鬼。……ただの、道具だけどね”


…道具…?


なんで、あんな酷いことができるんだ。


…絶対に、助けてみせる。


そう、思った。


それから、僕は翼鬼に会いに行くようになった。


最初は警戒されたけど…弟だって分かると、すぐに仲良くなった。


離れていた時を埋めるように…。


翼鬼はずっと苦しめられてた。


実の親に、愛されることもなく。


道具として、実験体として。


何度も死にたいって言ってた。


…それでも、翼鬼は生きた。