死にぞこないの神【短編】

次の日、私はとても悲しかった。
なぜっていつも傍にいてくれる彼がいなかったから。
だから私は動いたの。

ガラスの全面を破壊して外に出たわ。

出ただけで何もできずに床へ落ちてしまったけれど、必死の想いを黒い格好の男性に伝えたかったの。

私が落ちた直後に男性は来て、床に落ちているのを驚いていたわ。冷汗をかいて顔中が濡れていたもの。

でも急に安堵した顔になったわ。
彼がいないことに気付いたんでしょう。
泥棒がガラスを割って夜中に彼を盗んだんだと推測したようね。
男性は私を台の上に戻して、四角いガラスの箱を新しい物に替えて出ていったわ。

入る直前に音がした事に気付かなかったのかしら。残念だわ。