死にぞこないの神【短編】

排気ガスで汚れた、高層ビルが立ち並ぶ都会
夏の日差しが窓に反射し実に眩しい。

そういった高層ビルが林立する中には下で曲芸師が騒ぎ立てるビルがあった。
見上げると窓にはあの男性の姿があった。

男性は住職を辞め、清掃業を始めていた。『彼』を売った金で、ある程度の貯蓄はあった。
しかし寺で育んだ律儀な性格のためだろう、その後も真面目に働いていた。


地上十五階
風が少し吹いた。
ゴンドラの上に立ち、窓を拭いていた男性はよろめき落下する。
徐々に遠くなる悲鳴の後、曲芸師が上に向けていた短剣が首を舐めた。




End