死にぞこないの神【短編】

いつもの男性はまだぶつぶつをしているわ。

――なぜ逃げないの?

私のその問い掛けに視線だけこちらに上げ、私を見つめたあと目を伏せてまたぶつぶつを始めたわ。

哀しいの?
目には光るものがあったわ。

私には経験のない『それ』

いつしか男性のぶつぶつは経典のものから男性自身の謝罪の言葉に変わっていたわ。