「サンキュー!」


 俺は早速リモコンを操作し、前のめりになってDVDを観始めた。ねこは俺とは対照的に、ソファーの背もたれに体を預け、雑誌を読み始めてしまった。

 人の好みが色々なのは分かるが、なんだってねこはここまでベリーズに興味がないんだろうか?



 ねこに気兼ねして音量を下げ気味にして観ていたが、やっぱりベリーズはいい。中でもヒロミンが特に。


「ヒロミン、最高……!」


 ねこはまったくテレビ画面を見ていないので、それをいい事に俺は早送りと巻き戻しを駆使し、気に入った曲は何度も繰り返し観たりしていた。



「どこがいいの?」


 不意にねこの声がし、そっちに顔を向けると、彼女は雑誌から顔を上げ、冷めた目で俺を見ていた。