結局、川島に説得された格好でコンサートへ行く事になった。

 川島は念のいった事に、コンサートが始まる数時間も前から俺にメールを寄越して来た。


 やれ『起きてるか』とか、『もう家を出たのか』など。うるさくて堪らない。



 駅でその川島と待ち合わせ、会場の公会堂までてくてく歩いた。


 川島は案の定ハイテンションで、俺も奴と同じ気分になるように努力した。つまり、いちベリーズファンとして、コンサートを楽しむ気分。


 もっと正確に言えば、宏美に会いに行くのではなく、ヒロミンを観に行くのだと自分に言い聞かせた。そう思えれば、辛い思いをしなくて済むから。