ああ、やっぱりあれは本当だったのか。ネコ語を脳内翻訳したわけじゃなかったんだ……


「で?」


「いろいろ聞かれた。『年は?』とか、『なんで家に帰らないの?』とか」


「うんうん」


「私は何も答えなかったけど、『名前ぐらい教えてよ』って言われて、“ねこ”って言ったら……」


 うんうん。


「あなた、急に大きな声になって、『そっか。俺、腹空かした“ネコ”を見ると放っておけないんだ。何か食わしてやるから家に来いよ』って言って、強引に私の手を引っ張ったのよ」


 あちゃー。俺、やっちまったなぁ。


「本当だからね?」


「分かってる。記憶はないけど、俺なら言いそうな事だ」