「はあ? ふざけてんのか?」


 思わずきつい言い方をしたら、


「出てく」


 女はまた立ち上がった。すかさず、


「わかった。“ねこ”ね? それでいいから」


 とフォローして引き止める、弱っちい俺。


 再び腰を下ろした自称“ねこ”に、俺は昨夜の事を聞いた。自分だけ記憶がないというのは気持ち悪いから。


「昨夜、私が道端でうずくまっていたら、あなたが肩を叩いて、『どうしたの?』って……」


「うんうん、それで君は……?」


「『お腹空いちゃった』って言った」