さっさと出てけ、と思ったのだけども……

「ちょっと待て」

 引き止めてしまう弱い俺。


「嫌なら答えなくていいから」


 女は「はあ?」ってな顔で俺を見下ろした。


「答えられる範囲で答えてくれればいいから」


 そう補足をすると、女はゆっくりソファーに腰を下ろし、ホッとする俺。この女とどうこうしようって事ではないのだが、名前も聞かずに別れるのもどうかと思うんだよね。うん、ただそれだけさ。


「君、名前は何ていうの?」


「昨夜も聞かれた」


「あ、そう。でも、覚えてないからもう一度頼むよ」


「ねこ」