「あ、そうそう」


 川島が豚汁をズズッと啜りながら、急に何かを思い出したようだ。


「このあいだの“金子”って苗字なんだけどよ、どこかで見たと思ったら、ヒロミンの本名だったよ」


「知ってる」


「そっか。フルネームは……」


「金子宏美だろ?」


「そうそう。案外さ、ねこちゃんがヒロミンだったりしてな?」


「実はそうなんだ」


「はあ? おまえなぁ、真顔で冗談言うなよ?」


「あの日の夜、ねこが寝た隙にネットでヒロミンの素顔をググったんだ。そしたら、ねこはヒロミンだった」


「…………!」


 川島は目を見開き、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。そして、ゲホゲホと口から豚汁を噴いちまった。


「汚ねえなぁ」


「わ、わりい。しかしおまえ、マジかよ!?」


 俺は、「ああ、マジだ」と言って頷いた。