その日の夜。

何時も通り、私は寝るための作業を着々とこなしていた。



夕食は両親と3つ下の弟の翔吾と、家族で食卓を囲んで食べた。相変わらず、会話もあまりない食事だったけど、もう慣れた。


お風呂に入り、歯を磨き、リビングで家計簿を苦い顔をしながら記している母に声をかけようとしたが止めた。



自室がある二階に上がり、隣にある翔吾の部屋から漏れて聴こえる音楽を注意しつつ自室に入る。


中2の翔吾は、反抗期真っ盛りだ。姉の私の話など「うっせえ」の一言で片付けてしまう。




壁は当然、防音になんてなってないから翔吾の部屋から音楽はウルサイくらいにこちらまで届く。


嗚呼、なんて迷惑を考えない弟だろうか。私なんて反抗期すら迎えられていないというのに。



当然なら迎える筈の反抗期は、幼い頃から腕白な翔吾のせいで迎えられなかった。


あれ以上、両親を困らせてはいけないという想いが呼んだ、私の私を見せてはいけない、我慢。