「蒼愧?へぇ。カッコいい名前だね」 「カッコいい…?カッコいいってなんだ?」 俺はまず、蒼愧の正体から聞き出す事にした。 「あ…蒼愧って人間じゃないよね?」 「おう!人間じゃない!鬼だ!」 「鬼?鬼ってあの鬼?」 「ここに立派な角があるだろ!」 確かに彼の頭には角があるが、立派とまではいかない。 「へぇ…」 俺は曖昧な返事をした。 「俺の事見えるかってさっき聞いただろ?」 「うん」 涼しい風が二人の間を通る。 蒼愧の綺麗な黒髪はさらさらと揺れた。 そして青緑色の瞳がフッと笑う。