夏休み




「蒼愧?へぇ。カッコいい名前だね」




「カッコいい…?カッコいいってなんだ?」




俺はまず、蒼愧の正体から聞き出す事にした。



「あ…蒼愧って人間じゃないよね?」



「おう!人間じゃない!鬼だ!」




「鬼?鬼ってあの鬼?」


「ここに立派な角があるだろ!」





確かに彼の頭には角があるが、立派とまではいかない。



「へぇ…」



俺は曖昧な返事をした。




「俺の事見えるかってさっき聞いただろ?」



「うん」



涼しい風が二人の間を通る。



蒼愧の綺麗な黒髪はさらさらと揺れた。



そして青緑色の瞳がフッと笑う。