珈琲の香り

「いっちゃーん!教えて?」

ソファに座り、クッションを抱えて首をかしげる仕草が可愛らしい。

……こんな可愛らしい仕草ができたら、私もこんなに変な噂たてられなかったのに……

そう思うと悲しくて…桜の顔を見るのが嫌になる。

それに…………


そんな風に思う自分も嫌だ。


「いっちゃん……?」

「あ、ごめん。ボーッとしちゃった。酔ってるのかな?」


きっと、醜い顔してたと思う。

双子なのに、全く正反対の桜に………

嫉妬した……


きっと、双子じゃなかったら、桜に嫉妬することもなかった。

生まれたときから隣にいて、いつも比べられてきた。

“可愛い”って言葉は桜にだけ向けられ、私に向けられることはなかった。

今も……



ボスッ

「なっ、何でクッション……」

「…――いっちゃんは十分可愛いの!車が好きなのは、パパの影響だし、お酒強いのはママの遺伝子のせい!顔は似てなくても、いっちゃんの思ってることぐらいわかるんだから!」


こういう時、“双子だったんだ”って思う。

なにも言わなくても、私の気持ちを感じて、励ましてくれる。

気持ちを持ち上げてくれる。

全く正反対でも…ううん。全く正反対だから、私たちはうまくいってるんだと思う。


「…さーちゃん」

「今日は寝かさないわよ?じっくり新堂くんの話、聞かせてもらうから!」


………寝かせてください

っていうか、その前にお風呂に入りたい……