珈琲の香り

一人だから、思いっきり手抜きしてレトルト使おう!

桜がいると、手抜きできないんだよねー。

自分はレトルトとか使うのに……


「今日はミートソースにしようかな?……ブホッ」


買い物客の多い時間に、下を見ながら歩いてた私が悪い。

棚を曲がったら、何かにぶつかった!



「…――大丈夫?」


顔をあげると、目の前には胸があって……

そのまま視線をあげて……

あげて……

あげて……


「――!ごめんなさいっ!」

かなり背の大きな男の人の顔があった。

まあ、145センチの私からすれば、大抵の人は大きいんだけど……



一重の涼やかな瞳が私を見下ろしてる。


……かっこいい……


コーヒーでいったら、「アメリカンコーヒー」って感じ。

…要するに、あっさりした顔?


なんて事をボーッと考えてたら


「大丈夫?お嬢ちゃん…」


お嬢ちゃん?!

小さいから、子供に間違われることもよくあることだけど……

こう見えて二十歳なの!

大人なのにー!

しかも!

しかもよ!好みの男の人に“お嬢ちゃん”って言われたー!

……ショック!


「…――大丈夫です。ごめんなさい……」


頭を下げて、その場を足早に逃げたけど……


“お嬢ちゃん”はやっぱりショック……


「はー……」

盛大なため息をついて、急いでレジに向かった。