珈琲の香り

こういうのを、“彼女特権”って言うのかな?

研究室では見せない、蒼くんの顔。

今日、初めて知った……


「…――蒼くんって、案外可愛いんだね」

「あー……そう?」

「うん。イメージ、変わった」

「それは、いいふう?それとも、悪いふうに?」

「うーん……たぶん、いい方……?」


「そうか」と言って笑う蒼くんは、憎らしいくらい可愛らしくて、ちょっと女度で負けてるって思った。








「じゃあ、そろそろ帰ろっか!」


そう言って蒼くんが伝票を持つから、私も慌ててお財布を出した。

……んだけど、


「恥、かかせないで」


と、妙に大人っぽいことを言った蒼くんに止められて、ごちそうになることになった。



店を出ると、雲ひとつない空には星が瞬いていて、蒸し暑さも気にならない。



「次は絶対に割り勘だからね!」

「はいはい」


そう言ってから私の頭をポンポンとする蒼くんは、学校で見せる顔をしていた。