珈琲の香り

「…――で?環さんがどうしたって?」


急いで部屋着に着替えてリビングに戻ると、更に缶ビールが増えていて、鼻をすする桜が俯いていた。


「たま、きがね…環が…」

「うん、うん。あ、そのビール、私に頂戴。桜は飲み過ぎ」


桜の周りにはすでに350mlのビールが3本ほど転がっていた。

完全な飲み過ぎ。

桜、明日の授業、出れないよ…


「環が、浮気…してた…同じ…会社の子と…」


あー…やっぱり…

桜の歪んだ顔は、やっぱり彼の浮気が原因だったか。


「環さんって、確か27歳だよね?」

「そう…年上でね、優しくてね、格好良くてね…でも、誰にでも優しくて。それがすごく嫌でね…」


グズグズと鼻をすすり上げながら、桜は愚痴ともノロケともとれるようなことを言い続けてる。


確かに環さんはかっこいい。

それは認める。

だけどねぇ……浮気とは……


「本当に浮気だったの?」

「……だって……仲良さそうに話してたし……」

「それだけ?」

「それだけ……」

「は?」


……話してただけで浮気って。

どれだけ嫉妬深いのよ!

……何か、腹立つ!!