珈琲の香り

―――今日の新藤くん、クルクル表情を変えてる…

いつもの新藤くんは、笑っててもどこか大人っぽい雰囲気があって…

でも、今私の横を歩く新藤くんは子供のようにクルクル表情を変えて、よく笑っていて…

このまま時間が止まればいいのに……


でも、そんなことが叶うわけなくて、あっという間にお店に戻ってきてしまった。


…そういえば、荷物!!


「新藤く…」

「――蒼」

「…え?」

「さっき約束したでしょ?」

「………せ…蒼…くん?」

「よくできました!!」


私、頑張ったよ!

新藤くんの事、“蒼”って呼べたよ!!

荷物を持ち替えた新藤…ううん、蒼くんが、私の頭をグチャグチャって撫でてくれた。


「…――おせーと思ってたら、店の前でイチャつくな」

「おー、にいちゃん」


そんなに遅くなったつもりはなかったのに、無愛想に輪をかけて不機嫌な涼さんが、店のドアから顔を出した。


…やっぱり…門限破った娘の気分だよ…

涼さんには聞こえないように、ため息をついた…