珈琲の香り

「涼さん………いってきます。」


涼さんの顔が怖くて、何時もの様に笑えない。

ただ、蒼くんと学校に行くだけなのに……


「……気をつけろよ……」


相変わらず怖い顔のまま、それでも私の顔を見てはくれなくて…


「……いってきます……」


私はそう言って、店の扉を押した。


「ぷっ。あはは~。

あんな顔するなら、素直になればいいのに~

まあ、それができないのがにいちゃんなんだけど。

あ~、傑作だ。

写真撮っとけば良かったよ」


涼さんの怖い顔の意味がわかるのか、蒼くんは一人笑い転げていて。

その意味がわからない私は一人オロオロして。


「樹のバイク、貸して?あとで返すからさ。」


そう言うと、私の手からキーを奪い取り、エンジンをかけ始める。


「そ…蒼くん?」

「樹はいつも通り、電車できてね。」


と言われてしまった。

別にね、バイクを貸すことくらいはいいの。

今日だって、お父さんと交換しようかな?って思ってたくらいだから。

でも、何で一緒に行かないの?

何で蒼くんだけバイクに乗って行っちゃうの?