珈琲の香り

嫌なのに……

掴まれた手を振りほどくことができない。


涼さんが何を考えていて、どこへ行こうとしているかなんてわからない。

ただ黙って付いていくしか、私にはできない。


告白すると決めたのに……

風花さんに背中を押してもらったのに……


そんな気持ちもどこかへ行ってしまうほど、涼さんの顔は思い詰めていて……



涼さん……

今、何を考えているの?

どこへ行こうとしているの?

私はどうしたらいいの?




涼さんは私の手を掴んだまま、どんどん歩いていく。

いつもなら自然に合わせてくれる歩幅……

今はその歩幅の違いにも気がつかないほど、何かに向かっていく。

引きずられるように……

涼さんについていくのが精一杯で、流れる汗を拭うこともできない。

息が切れる……

いつまで、どこまで……

それすらもわからない。

ただ引きずられるようについていく。