珈琲の香り

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変な緊張感を漂わせたままモーニングは進み……


「ごちそうさん」

「ありがとうございましたー」


最後のお客さんを送り出す。

これからしばらくはお客さんも来ない。


でも………………

涼さんと二人きり……

どうしたらいいのー!

常連さんの変な一言で変な雰囲気になっちゃったし、それにこの格好じゃまた何か言われそうだし……


着替えてこようかな……?

そしたら少しは雰囲気も……


ガチャガチャと食器を片付けながらそんなことを考えていたときだった。



「おい」

「……はっ、はいっ!」



……やだっ。声が裏返っちゃった!

いきなり声かけられても。

心の準備ってものが……


「出掛けるぞ。」

「は、はい?」

「お前も来い」

「は?……え?」


どこへ?とも、お店は?とも聞けない。

今まで見たこともない、真剣な涼さんの顔があった。

何かを思い詰めたような……

こ、怖い……


初めて涼さんを『怖い』と思った。


「早くしろ!」

「あっ……」


テーブルを拭く手を掴まれる。


痛い……


こんなに怖い涼さん、嫌だ……