珈琲の香り

ゆっくりと、そっと蓋を開けてみる。

そこにあったのは


「…靴…?」

箱の中身は黒い靴。

しかも……新品?!


「涼さん。これ…?」

「サイズはあうはずだ。」

「サイズは合うけど…」

「とりあえずはいとけ」


涼さんはそれだけ言うと、さっさと戻って行っちゃった。

しかし…誰の靴?

……って、分かりきってる。

多分、風花さんのだと思う。

本当に履いていいのかな?

履けたら楽だけど、何となく…ね…

でも、今の私に選択肢はない。

家からここまで歩いただけで、足が悲鳴をあげてる。

プライドか、足の痛みか…

うーん…



………やっぱり借りよう。

プライドより、今は仕事が大切。

一週間ズル休みしたんだもん。

頑張らないと!



「涼さん。靴借ります。あとで買って返します。」

「お前にやる。返されても困るから。」



……それもそうか………


もう、履く人はいないんだもんね……

でも…………

ずっと取っておいたんだ……

風花さんがなくなってから、ずっと………