珈琲の香り

「前に飲みたいって言ってただろ?」

「覚えていてくれたんですか?」

「―……ああ、何となくな。」


何となく……

それでも嬉しい。

雑談の中のことを覚えていてくれたことが……

たったこれだけのことなのに、すごくいい日に思えるの。

私って単純かしら?


「さあ、今日も頑張って働きますよー!」

「……当たり前だ。1週間も休みやがって。今日は閉店までしっかり働いてもらうぞ」


涼さんの顔が不気味に笑う。

こっ、こわー……

今日は覚悟を決めた方が良さそう…


あっ……でもこの靴でフルはきついかも……

あとで靴買いにいこうかな?

などと考えていたら、奥から涼さんが箱を持って出てきた。


「これ。」

「なんですか?……あっ!もしかしてビックリ箱?そんなことしても驚きませんよ~」

「いいから開けろ。」


『いいから開けろ』って言われてもねー。

本当にビックリ箱だったら嫌だしな~……


恐る恐る受けとると、靴箱のような………?

振ったらカタカタ音がするし……

やだっ!ほんとにビックリ箱?