珈琲の香り

慣れないヒールが少し痛い。

だけど、ヒールのおかげで背筋が伸びる。

ほんの5センチでも、見える風景って違うんだ。

そんなことに気がつく。


今の私はどんな風に見えているんだろう。

おかしくないかな?

桜が選んで、化粧までしてくれたんだから、きっと平気だよね。

でも、さっきからすれ違う人がこっちを見てる気がするんですけど…。

自意識過剰?

やっぱり変?

どうしよう…変だったら…

でも、今更戻って着替える時間もない。

あー、どうしよう…



なんて迷って歩いているうちに、涼風に着いちゃったよ。

昨日のこともある。

しかも、着慣れない服と履き慣れない靴。

化粧までしてる……

やっぱりこのまま帰ろう……



そうだ!やっぱり帰ろう!

今日は無理だよ。自信無い。



そう思っていたとき、ゆっくりと涼風のドアが開き、看板を持った涼さんが出てきた。



……………あちゃ~……

間に合わなかった……


「早えーな。」


……えっ?それだけ?

スルー?

化粧に関しても、昨日のことの関しても…このままスルー?


いいの?こんなんで…

すっごい肩透かしくらったみたい。