放課後の視聴覚室は密の味



僕がふと、窓の外に目をやると、ポツポツと降り出している雨。

窓から一瞬だけ吹き込んだ風は少し冷たく、僕たちを心地よく撫でた。



奈菜は宙を見つめながら

「本当はね…私も秀が他の子と話したりするの見るのヤダ」

まるで独り言のように言う。

そして、僕を見上げて

「私もね…秀と出逢ってから、
自分がこんなにもヤキモチ妬きなことを知ったの」

と、静かに微笑んだ奈菜の顔には

もう、さっきまでのニヤけ顔は、どこにも見当たらなかった。



その優しい笑顔が僕には儚く映る。




僕が奈菜の顎に手を添えると、
奈菜はそっと目を閉じる。

そして

僕はゆっくりと奈菜の唇に近づき
触れるだけのキスをする。


再び吹いた風がカーテンを大きく揺らし、僕たちを包むと、
奈菜の長い髪をなびかせた。