放課後の視聴覚室は密の味



「そんなことないよ」

「あれ?じゃあ、なんで?」


そうニヤけた顔で、イタズラな子どもの目をして聞く奈菜は、きっと確信犯。

僕の口から、奈菜を喜ばせる一言を言わせようとしている。


悔しいけど、

負けた感が渦巻くけど


「奈菜だから」


素直に答える僕……


また、熱くなる頬。


「本当に?」

ニヤけた顔が戻らない様子の奈菜は、嬉しそうな声を出し、

絡めた腕に更に力を込めて、今度はしがみつく。


そんな奈菜に

「奈菜が僕以外の男を見るのも、話しているのもヤダ」

と、大の大人が女子高生相手に、
子どもみたいな、こんな恥ずかしいセリフを言ってしまう。



こんな僕は、きっとこれから先も
奈菜には適わないんだろうな……



奈菜は僕に余裕を見せようとしているのか、フフフッと笑って

「意外~」と、冷静を装っているようだが、その顔には隠しきれない笑みが零れている。


僕はもう一度、奈菜の頭を撫で、
絡ませている腕を解くと、
今度は奈菜の肩に腕を回し、

奈菜は自分の頭を僕の肩に預けた。