年が明けて、私はいつの間にか、ひとつ先になってた。19才。だけど、残してきてしまったものがあるんだ。
「ねみ、ここに置くよ。気をつけてね」
「パパ、ありがとう。いってらっしゃい」
月初めに、パパが通学定期を買ってきてくれる。今日から1ヶ月。春休みまで試験もがんばらなくちゃ。
「あっ・・・」
新しい定期の下になってた。まだ返していない年賀状。どうしても、名前が書けないまま。何度も読み返してる。
「わっ、遅れちゃう。いってきます」
そのまま定期と一緒に詰め込んだ。
「音美ちゃんっ」
「あっ、香ちゃん。久しぶりー。明けましておめでとう」