あなたはもういないのに。

「着いたよ。おつかれさま」

私、眠ってたの・・・。ここは、私のおうちのすぐ近く。ほんとに送ってくれたんだ。

「さ、行こっか」

「うん」

車の外はひんやりしてて。夏なのに少し肌寒かった。

「わっ」

「ごめん、こんなのしかないけど、良かったら使って」

「ありがとう。すてきなスカーフ」

「オレ、センスいいでしょ」

ちょっとあったかい。一緒に誰かがいてくれるだけで。月命日。そういえば、いつもひとりだった。もしかしたら、やきもちやいたりして。なんてね。

「あれ?吹雪センパイ?」