「こんにちは。元気そうね」

「はい。ピアノも、やっと基礎練習、終わりそうで」

「曲、弾くのね」

「葉子さんみたいに上手に・・・あれ?私、まだ聴いたことないですよね?」

「ほんと・・・。そうだった」

きっと、優しくて、きれいな音色。

「これ・・・」

「えっ・・・チケット?」

「夏休みに大学のオケの公演があるの。なぜか私の下手なピアノが招待されてて」

「わぁ。すごいですよ、上手に決まってます」

「よかったら、ぜひ。私、がんばるから」

「チケット、いっぱいくださいっ」