「ほら、ピアノ科って、周りの子みーんな上手じゃない?私、比べられるのが嫌で・・・。あれは、大学内のコンサートの時かな・・・」

少しだけ潤むものがある。冷たくて、悲しくて。

「葉子さん、ごめんなさい。話しにくいですよね」

「だいじょうぶ。ねみちゃんに聞いてほしい」

そっとつながれた手の上に、優しい風が吹く。

「ねみちゃん・・・」

聞いているのは私のはずなのに。葉子さんに寄りそってもらってる。もう・・・怖くない。

「みゅーのこと、知ってほしいの、もっと」

「私に・・・」

「私、わかるよ。ねみちゃん、あの時の私と同じ」

「どうして・・・」

「みゅーは、自分でクライエントを見つけるの」