目を閉じてみる。なんだか少し、不思議な感じ。吸い込まれそうな、溶けてしまいそうな、柔らかな空気に包まれてる。
すーっ・・・すーっ・・・

「あっ、寝ちゃってる・・・」

少し早めに起きたからかな。それとも、昨日、わくわくして眠れなかったとか?猫みたいにぎゅって長い足を組んで毛布を肩からかぶってる。

「ネミー」

「ん?はる?」

「なーに、見とれてんの~?やっぱ、かっこいい?」
「えっ、違うよー」

実は、今、私たちはバスの中。季節は、もう夏。オーケストラ主催の旅行に、なぜかちびっ子3人もついてきてるんだ。

「誰がちびっ子やて?」

「わっ、美知くんっ」

「おはよぉ。なぁ、おなかすいてへん?車内販売や」