ここに来れば、思い出す。探していた人が、まだ歩いてる気がする。いつまでも・・・。
「お客さま、どうぞ。いつもありがとうございます。お気をつけて」
「ありがとう」
はやめに咲いたチューリップ。マーガレット、かすみ草・・・春の花束を届けようと思って。いつものお花屋さんの角を曲がれば、あなたが待っていてくれる気がする。
「ねみ!」
「・・・ミューズさん・・・」
どうして・・・。
「昨日は、ごめん。それだけ言いたくて」
あのまま、ミューズさんは、私がいるのを忘れたように泣いてた。どうしようもできなくて、私も帰ることしかできなかったんだ。
「待ってたの?」
「・・・ごめん。勝手なことして」