明日香の携帯が床にぶつかる音が聞こえた。 聴覚しか働かない理由は、彼女によって視界を塞がれていたからだ。 手にした携帯を取り落とすと同時に、明日香は俺を抱き締めていた。 抱き締めていた、というよりは、腕の中に封じ込めた、という表現の方が正しいかもしれない。 どちらにせよ、俺は華奢な明日香の腕の中で、身動きも取れぬ状態に収まっていたのだ。