その日は屋根に叩き付ける激しい雨音で目覚めた。

 まだ、暗いな……。枕元に置いてある目覚まし時計に目をやるとまだ朝方の四時半。
 雨は、嫌いだ。だってあの日を思い出すから。つい堪らなくなり横で疼くまっているシロに手を伸ばす。

 ん……?

 ふと違和感を感じ、手を引っ込めた。
「シロ?」
 いつもならば、寝ていても僕が声をかけるとパチクリさせて嬉しそうな目を向けるシロだが、今日はなんの反応もない。
 僕は慌てて起き上がり、シロに近付いた。シロの呼吸がいつもより早い。先程触れた時の熱さも尋常ではなかった。

 病気……? 

 病院! ――いや、それは駄目だ。そんなお金など持ち合わせてない。それに母親にシロの存在がバレてしまう可能性もある。

 僕はおもむろに立ち上がり、机の上に置いてある黒い画面の横にある赤いボタンを押した。するとすぐさまそれは緑色に変わり、ジーッと無機質な音を発す。途端に眩しい程光りを放つ画面に、思わず目をしかめる。
 それでも僕は画面から目を逸らさず、慣れた手つきでマウスを動かす。「発熱」で検索し、食い入るようにヒットしたその画面に噛り付いた。