「それを言うなら、」


と柏木はそこで言葉を切って、濡れた髪を掻きあげた。


自然な仕草の中に垣間見た、

無防備だけどキュンってさせられる表情。


見惚れた一瞬の後に目と目が合って。

瞬きもせず、笑いかけることもできなくて。


ただ、爆発しそうなくらいドキドキして。

……不自然に逸らした。


そしたら柏木は「なんだよ?」って。

でもアタシは「なんでもない」って言うしかない。


好きってこと、気づかれるのは困るけど。

でも、全然なんにも感じてないのも微妙だよ。