「ナカハラー! 中原 ユニーッ!!」


叫ばれて顔を上げると、水の中に立っている柏木が、不満気にこっちを見てた。

アタシは慌てて壁際のベンチに駆け寄り、カメラと引き換えにタオルを掴む。


「なにボーッとしてんだ?」


せっかく差し出したタオルを受け取ろうとせず。

柏木は、アタシ目がけて指先で水を弾いた。


「冷たっ! なにすんのよ?」

「隙だらけだからだよっ」


意地悪く笑うから言い返してやった。


「ちょっとダイバー、何度も言うけどアタシの名前、ユニじゃないし。“由似” って書いて “ユイ” だし」