「プールに落としたのは、一緒にサボるため?」

「…ごめん」

「随分と手荒な告白だね」


唇を尖らせたら目が合って。

柏木が小さく吹き出して、アタシもつられて笑った。


「それにオレ、中原にはダイバーって呼んでほしくない。さっき『それを言うなら』に続けて言いかけたのは、そのこと」

「みんな呼んでるのに、どうして?」

「その他大勢と一緒じゃ嫌なんだ。
中原はさ、オレにとっての “たった一人” になってほしいから」


制服も髪の毛もびしょ濡れなのに。

そんなのどうでもいいってくらい、ドキドキが積まれていく。


「わかった。これからは名前で呼ぶよ。
じゃ、アタシからも言わせてほしいんだけど?」