「どうする?
俺んち泊まるんなら、俺は弟の部屋行くし。」
「良いよ、そこまで迷惑掛けられないから。」
そう言ってテーブルの上に置いてあったCDをバッグの中に入れ、
ひとつため息をついて立ち上がった。
「心配だし、送ろうか?」
「そんな気使わなくても良いのに。
別にあたしのこと襲うほどの物好きも居ないだろうし。」
心配そうなその顔に少し笑いかけ、タクちんの家から出た。
気を抜けば、その優しさに甘えてしまいそうで。
タクちんがそんなつもりなんてないのわかってるから、
さっきのことは、笑って流して欲しかった。
何でもなかったんだ、って。
そんな風に、思って欲しかったから。
「まぁ、何かあったら話くらいなら聞けるから。」
「ははっ、タクちんらしいね。
けど、バンドのことだけ心配してなよ。」
玄関の外まで律儀に送ってくれたタクちんに軽く手を振り、
最後まで顔を崩すことなく別れた。
先ほどよりも、幾分風が冷たさを増している気がして。
あれほど暑かった夏、岡部と一緒に過ごしたことが、
もぉ遠い遠い過去のことのように感じてしまう。
ウザかったけど、嫌いじゃなかった。
好きじゃなかったけど、ただ安心してた。
気を許さなきゃ、こんなよくわかんない感情になんてならなかったのかな。
相手があの、大嫌いな数学魔女だったから?
あたしはこれから、ちゃんと卒業出来るのかな。
いや、岡部なんかに頼らなくたって生きていけるって、証明しなきゃいけないんだ。
あんなヤツ、もぉ必要ない。
元々ひとりで生きてきたんだから、今更あんなヤツが居なくなったって、
どうってことないじゃない。
だから頼むから、心が痛いの治してよ。
俺んち泊まるんなら、俺は弟の部屋行くし。」
「良いよ、そこまで迷惑掛けられないから。」
そう言ってテーブルの上に置いてあったCDをバッグの中に入れ、
ひとつため息をついて立ち上がった。
「心配だし、送ろうか?」
「そんな気使わなくても良いのに。
別にあたしのこと襲うほどの物好きも居ないだろうし。」
心配そうなその顔に少し笑いかけ、タクちんの家から出た。
気を抜けば、その優しさに甘えてしまいそうで。
タクちんがそんなつもりなんてないのわかってるから、
さっきのことは、笑って流して欲しかった。
何でもなかったんだ、って。
そんな風に、思って欲しかったから。
「まぁ、何かあったら話くらいなら聞けるから。」
「ははっ、タクちんらしいね。
けど、バンドのことだけ心配してなよ。」
玄関の外まで律儀に送ってくれたタクちんに軽く手を振り、
最後まで顔を崩すことなく別れた。
先ほどよりも、幾分風が冷たさを増している気がして。
あれほど暑かった夏、岡部と一緒に過ごしたことが、
もぉ遠い遠い過去のことのように感じてしまう。
ウザかったけど、嫌いじゃなかった。
好きじゃなかったけど、ただ安心してた。
気を許さなきゃ、こんなよくわかんない感情になんてならなかったのかな。
相手があの、大嫌いな数学魔女だったから?
あたしはこれから、ちゃんと卒業出来るのかな。
いや、岡部なんかに頼らなくたって生きていけるって、証明しなきゃいけないんだ。
あんなヤツ、もぉ必要ない。
元々ひとりで生きてきたんだから、今更あんなヤツが居なくなったって、
どうってことないじゃない。
だから頼むから、心が痛いの治してよ。


