桃色の蜘蛛、只一つの罪【短篇】

ある日、駅前でグループの一人の話を聞いていた時、偶然見かけた白い影。

喧嘩の始末さえ、彼氏に頼んだ馬鹿な女が自慢げに話す。

─んでぇ、彼氏にボコって貰ったんだ…

その時、横を通り過ぎた白い影は、まさしくあの時の男だった。

視界に入った彼焦点を合わせ、馬鹿な女の話を遮り、彼の背中へ駆け寄ろうとした時……。

携帯が鳴った。

彼を視界から逃さないまま出たその着信。


─エリカさん!パクられたよあいつら…。