ふいに現れた男。 どこから来たのかもわからない彼は、私が振り払えなかった手を簡単に…容赦なく払い、酔った若者と私に距離を作った。 いや…“作ってくれた”。 ─もう行っていいよ。そこの交番に声だけかけといて。 男の声は聞こえていた。 でも、私はその声を聞き終えるよりも先に駆け出していた。 ──動揺…。 今までの人生で、困っている時、善の心を動かした時、迷っている時、自分の味方になってくれる物も者も無かった私。 そう言う“星”なのだと思い込んでいた私。 今日もそう…。