桃色の蜘蛛、只一つの罪【短篇】


酔っ払って足取りはふらついてはいるものの、予想外の力の強さと誤解に心が折れそうになる。

─学生か?違うな、見逃してやるから、ちょっと遊ぼうか…なぁ

払えない手を通して、理性の無さが伝わって来る。

─離してよ……!

こんな事ならやっぱり盗っておけば良かった…。やっぱりいつもこうだ…。

然程大きな声も出せず、それでも小さく叫びながらそんな事を考えた時、死角から声が聞こえたんだ。

─何してんの?