桃色の蜘蛛、只一つの罪【短篇】


私は普段、窃盗も売りもしない。

指示をして、仕切るだけだった。

金と頭を使えば、馬鹿な彼女達を動かすことは簡単だったから。


あの日、何気なく歩いていた深夜の駅傍の裏通り。

酔っ払った若い男が道端に寝ていた。

デニムのポケットからは、長財布が顔を出し、今にも落ちそうになっていた。